2010年5月22日土曜日

一般市民に対する石綿関連疾患スクリーニング(JGSARD研究)会議

現在福井大学医学部環境保健学教室内は第83回産業衛生学会のこと一色・・・のはずなのですが、国立がんセンター金子昌弘先生、帝京大学の江口研二教授の主導の下行われている一般市民に対する石綿関連疾患スクリーニング、略称JGSARD研究の会議があったため、東京へやってまいりました。当然その分、教室の皆様や私が指導している実習班の皆さんにしわ寄せが来るため恐縮です。
実に1万人近くの人に詳細な問診・レントゲン・低線量CTを行い、そのデータを蓄積しつつある当研究班は厚生労働省主体で行われていますが、環境省やその他のところからも注目されています。なかなかこれだけの規模で「一般市民」を対象に調査が行うことはなく、しかもテーマが世間的には若干ピークは過ぎたとはいえ、一時世間を騒がせた石綿関連の話であり、注目されない方がおかしいという気もします。
かつては石綿を職業的に扱っていた人たちのみが問題視されましたが、クボタ工場周辺の調査から、職業曝露だけでは片手落ちであることが明らかになって早数年たっています。実際にあちこちの建築物に使用され、工場で使用されていた石綿による「環境性」の曝露の実態について、何をどのように調べるのか。今の日本ではどのような調査が可能か、という意味で、一般市民対象にレントゲンに加えCTまで使用し、石綿性胸膜班の有無を調査しております。また政府予算の関係上とはいえ2年の時間をあけて(純粋に医学者としては10年、20年の時間をあけて調べたいのですが・・・)2回目の検査も行っており、これらのデータの解析も残っていますが、一応初回の検査結果について解析の概要が報告されました。この結果については久山先生(中国中央病院)が論文を作成中で、それが公表されるのを待ってください。
これら結果については逐次関連学会でも発表するのですが、今年度はIMIG2010(8月31日、9月1日)、日本肺がん学会(11月3日、4日)での発表が予定されています。そのうち日本肺がん学会での発表については光栄にも私が発表させていただくことになりました。しかし、抄録(発表内容の要約)の締め切りが5月25日。日本産業衛生学会直前のこの時期にこんなことを引き受けてくる私はいったい・・・。

たろう

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