2010年4月30日金曜日

環境保健学実習前講義

先日の日記でも書いたとおり、今年の環境保健学の実習が始まっています。今週は実習前講義ということで、1コマ目に日下教授より総論、2コマ目に様々なテーマに分かれ各論の講義を受けてもらいました。これはカリキュラムの都合上、前期に実習、後期に講義となってしまっているため、全く環境保健学の基礎知識なしで実習に送り出すのは問題であるために、毎年行っている講義だ。
私、田村が担当させてもらったのは「衛生環境研究センター」「原子力環境監視センター」「感染症」「じん肺」などのグループと幅広いものとなっていて、細かい話を始めたら終わらないだろうな、と思いつつ、用意したプレゼンのファイルを診ると、スライド枚数100枚!時間が60分では終わるはずもない。案の定各施設の説明はできませんでしたが、まぁ概要は理解してもらえ・・・・てるといいんですが。

さて、前回は原子力環境監視センターグループの話をしましたが、今日はAIR Pneumoの話でも。当教室の大学院生周先生が行われるAIR Pneumo入門の実習。このAIR Pneumoという言葉は当教室日下教授を筆頭に行われているILO国際じん肺分類の読影訓練コースの愛称で、正式名称を"Asian Intensive Reader of Pneumosoniosis"といいます。2008年12月に第1回のパイロットコースが開かれて、それには田村や周も参加しておりました。その後昨年2009年8月にブラジルの読影講習会にも協力した後、今年は12月に第2回のパイロットコースをタイで行う予定です。下の画像が第1回AIR Pneumoのときのチラシ。


日本でもまだじん肺はなくなったわけでもないですし、世界的にはまだまだじん肺は生じてきています。その原因となるケイ酸は自然界にいくらでもあるのですが、粉じん曝露を防ぐことで予防もできる疾患であるため、労働衛生管理の基礎的かつ伝統的な疾患でもあります。現在WHO/ILOによりGPESということで世界からじん肺を撲滅しようと運動が行われていますが、そのための基本的ツールとしてあるのがILO国際塵肺分類です。このじん肺分類により、じん肺のスクリーニング・サーベイランスが行われることが重要で、それにより国際的にも比較可能となりますし、そういった疾患の発生状況の集計が予防にも生きてきます。
またじん肺にはがんや結核の合併があり、その他鑑別疾患として、石綿肺と間質性肺炎などの違いなど学ぶべき内容は少なくありません。じん肺読影の中で一般レントゲン読影能力も磨けます。じん肺レントゲンの読影訓練コースという意味ではアメリカNIOSHのBリーダーが世界的に有名ですが、それのアジア版を目指してAIR Pneumoは開発されています。
正規のAIR Pneumoは産業医などをターゲットにしていますが、学生用に調整したコースをAIR Pneumo開発にも多分に尽力した周先生が提供してくれるこの実習班。じん肺や産業衛生管理のことも含めて、学んでほしいと思います。
AIR Pneumoの詳細が知りたい人は下のバナーからAIR Pneumoのページへ・・・・(英語ですが)



たろう

1 件のコメント:

  1. 先日の日記でも書いたとおり、今年の環境保健学の実習が始まっています。今週は実習前講義ということで、ニホンNCH

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