今年は震災の影響もあり、様々なイレギュラーなことがあったため、学生さんたちにも多々不自由をおかけしたのですが、発表会ではそのようなトラブルを乗り越えて、どの班もよい発表をしてくださったと思います。
本当は今年もすべての班を取り上げたかったのですが、さすがに実習発表会の司会や記録などの業務の合間に、話を聞きながらまとめるのは困難を極めたため、いくつかの発表のみ取り上げさせてもらいたいと思います。
地震関係からは、16-1班 MOEQリスク分析&管理とPDCA入門(第6回):環境保全 「地震について」(福井厚生病院、パナソニック・エレクトロニックデバイス(株)、福井労働局、福井大学医学部・附属病医院内)
発表の中でもありましたが福井県は大地震が起こる確率は低いといわれているため、地震対策は、特に東海地震の危険性が叫ばれている(叫ばれてきた)東海地方に比べると熱心さにかけるのが現状です。実際に当大学では地震時の対応マニュアルとして患者さんをどうするかというのは考えられてますし、職員の対応マニュアルもありますが、どうも学生さん用のものはないようです。そういった現状を受けて、学生の視点から学生のための災害時の対応マニュアルを作成するという、有る意味ではとても大きな話をしてくれました。現実に福井大学でもそういうものが必要であるのは確かですし(有る程度は準備されているであろうが)、実際作るとなったら学生自身にも加わってもらって災害時の対策プランを作るというのもいいことではないかと思います。彼らの発表内容も踏まえて、対応マニュアルの整備が進むことを期待しています。
地震からみではありますが、原発関係もありました。例年は福井県原子力環境監視センターでの実習もあったのですが、福島への援助のため職員が出払うなどのため、今年は当然のごとく中止となっています。その代わりというわけでもないでしょうが、原発の話題をまとめてくれたのが7班
原子力災害発生時の保健所対応 (嶺南振興局二州健康福祉センター)でした。
タイトルと中身が一致しないのですが、二州健康福祉センターの担当の方が途中で人事異動のため、学生さんにご迷惑をおかけした班のひとつです(他にもいくつか同様の班があります)。そのような逆境の中、今話題になっている原発推進・脱原発の話題についてまとめてくださいました。今回の福島を中心とした原発事故の情報をよく取りまとめてくれたと思いましたが、個人的にもやはり最近情報は集めていたので、私個人は若干食傷気味でした。あまり情報を集めていない学生さんたちにはいい勉強になったんではないかと思います。ただ、議論はやはり紛糾。別に怒号は飛び交いませんでしたが。皆さんの関心の高さがうかがわれます。
介護や福祉といった方面での実習も様々ありました。そのひとつが、茜会における看取りケアの取り組みと現状 (医療法人社団茜会 老人保健施設ディーパあかね)です。
この班ではターミナルケアについての意識調査を、先方、茜会の職員方と学生さんたちにアンケート調査をしていただき、さらに文献的に同様の意識調査を調べて、日本・韓国・フランスと比較を行ってくださいました。それぞれに特徴的な意識の違いを明確にしてくれました。できれば、さらにそれぞれの国の歴史的背景、現状の制度について踏み込めたら、とも思いますが、そこまでするには時間が足りなかったのでしょう。
最後に私が直接指導させていただいた班を紹介しておきます。
17班 レントゲンフィルムの読影訓練ということで、ILO分類に従ってレントゲンの読影訓練をしてもらいました。とはいえ中身は読影だけではなく、じん肺の基礎知識、病態、疫学といった病気についての知識も身につけてもらいます。また予防とそのための粉じん環境測定、職場環境整備といった産業保健としての話も聞いてもらいます。その上、建築現場で石綿の曝露を受けた方の対応をしている健康管理組合、建築組合連合会の方から一般の、非医療職の側の視点からの話も聞いてきてもらいました。さらには最後には感度・特異度という検査の精度の話や、統計学的検定も行ってもらい・・・と盛りだくさんの内容です。この内容すべてが発表に盛り込めるわけもなく・・・結局読影訓練前後での読影能力の変化というところを中心にまとめてもらいました。また班員全員が他の班の質疑応答で手を挙げて質問もしてくださり、指導教官としてありがたく思います。
他にも紹介したい、紹介すべき発表はいくらでもあるのですが、ひとまずこのあたりにしておきます。
全体的には今年の実習発表会は例年に比べてもよかったと思います。発表内容の質もさることながら、質疑応答も活発で、教官一同感心させられました。まだレポートの提出がありますので学生さんたちにはもうひと頑張りしていただきたいです。
たろう
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