2010年2月23日火曜日

メタボ対策

巷では、“メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)”が病気の話題。
腹囲を測って一喜一憂。某コマーシャルで中年サラリーマンを扮する役者がお腹を引っ込めるシーンは、つい笑ってしまう…。一度は見たことがあるのでは。

メタボリックシンドロームは、心疾患、脳血管疾患のリスクファクターとして注目されている。何せ、わが国では3第死因疾患の2位、3位(悪性新生物:1位)で長らく不動。10人のうち大方3人は心疾患または脳血管疾患で亡くなっている。ある日突然起こり、最悪の場合には死に至らしめる恐ろしい病気だ。ライフスタイルの不摂生が動脈硬化の進行に拍車をかけ自覚症状なく血管を蝕む。まさに“サイレントキラー”だ。“メタボ対策”が極めて重要な所以である。
このメタボリックシンドロームの背景には運動不足や過剰栄養などの不適切な生活習慣があり、ライフスタイル改善のために個々人の行動変容が鍵となる。
わが国は、平成19年度にメタボリックシンドローム予防対策として「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」とスローガンを掲げており、特に運動を第1に挙げ、身体活動(運動、生活活動)による予防が大切であることを示している。

冗長に述べてきたが、「言うは易く行うは難し」だ。特に“運動”は苦手、嫌いな者にとっては厄介だ。
福井県民の運動実施状況 (「ふくいの健康長寿の謎解き (コンパクト版) .P124」.福井県福祉健康増進課. 平成17年度) によれば「ほとんど運動していない者」が平成6年度47.5%、平成11度56.0%、平成16年度61.4%と増加傾向にある。わが国の健康づくり施策「健康21」では、一日の歩数として男性9200歩、女性8300歩を目標値としているが、全国平均(平成17年度)は男性7533歩、女性6446歩で目標値を下回っている。福井県(平成18年度)では男性6973歩、女性6463歩と男性においてはさらに全国平均より低い。
何も、ここでわざわざ福井県の不名誉を公表しなくてもよいのでは、と大愚の念に駆られる。と、同時に研究者の血が騒ぎ、わが県民の歩数が少ないことには移動手段で車の利用頻度が高いことも要因のひとつであろうか?余暇を利用した運動ではなく労働や通勤ではどのくらい体を動かしているのか?などあれこれ沈潜してしまう。
予防医学的知見として運動やスポーツの有効性は先行研究により確立されている。しかし、任意に行う運動だけではなく労働などを含む日常の身体活動(生活活動)の有効性に関するエビデンスは現状では乏しい。
そこで、われわれは、平成20年度から、職域をフィールドに身体活動(運動・生活活動)がメタボリックシンドロームに及ぼす影響の研究をスタートさせた
身体活動からのアプローチによる今後の健康増進施策のあり方と具体的方法論を提示できると考える。さらにはメタボリックシンドローム予防対策の基礎資料として、職域にとどまらず地域ひいてはわが国のヘルス・プロモーションの一助としたい。


平井

1 件のコメント:

  1. 都会の方が歩いていて、田舎のほうが歩かない、これはたぶん事実でしょう。実際福井で移動手段は車に頼らざるをえないですし。
    個人的には健康上もそうですが社会的・日本と言う経済活動的にも、あまりにも地方が崩壊しすぎな気がします。
    東京一極集中で、そこから周囲に波及で恩恵が流れるからという発想。そしてまた、経済は成長し続けると言う幻想。それが日本の袋小路の最大要因ではないかと・・・

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