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2010年6月8日火曜日

第83回日本産業衛生学会を終えて

過日、第83回日本産業衛生学会は大盛況であった。
偏に、開催にあたりご協力、ご尽力いただいた多数の方々並びにご参加いただいた皆様に感謝する。
今回、福井県としては史上初の全国学会であり、参加者の皆様には"福井へようこそ"越前・福井の地を楽しんでいただけたことでしょう。
学会の楽しみと言えば懇親会だ。参加者は食べ物、お酒に期待を膨らませる。
ご当地アピールの格好の場でもある。

福井は食の宝庫。自然の恵みを受けて手塩を掛けて作られたおいしい米やお酒はご当地自慢である。
中でも名物「おろし蕎麦」は格別だ。冷水で締めた蕎麦に、おろし大根をぶっ掛けてカツオや塩のダシ汁にネギを添える。
いたってシンプルだが、おろし大根と蕎麦の風味は絶妙のバランスだ。

実はこの「おろし蕎麦」、当環境保健学領域の日下教授の研究とも関係がある。
1993〜1996年に手がけた研究「長寿地域における健康要因の抽出と、その応用に関する研究:福井センティナリアン(百歳長寿)研究」だ。
県内在住の元気高齢者(36名 96〜103歳)に食生活などについての聞き取り調査を行い、長寿者の大半が白米や野菜の煮物などを好み、発ガン抑制効果のあるダイコン、ソバ、なども日ごろからよく食べていることが分かった。
つまり、望ましい栄養・食習慣が抽出され、保健指導への導入や普及可能となり、今後の介入研究の道を開いた。当時マスコミ(福井新聞)にも取り上げられ話題を呼んだ。

この写真は27日の懇親会の盛況振りだ。
会場が溢れるばかりの参加者で賑わい、皆様に地酒や海の幸をご堪能いただいた。
私は写真撮影に夢中になっていたが「おろし蕎麦」の屋台には長蛇の列が出来ていた。

何はともあれ、福井ならではの学会であった。

平井

2010年3月5日金曜日

メタボ研究:身体活動量のプレテスト

体を動かすことが1 日どの位あるだろうか?

ちなみに、手や腕を頭上に上げることは何回あるだろうか?

洗濯物を干す時や、頭上の棚から物を出し入れする時にはその動作が必要だ(だった)。しかし、洗濯は全自動でしかも乾燥機付き、棚の引き出しは出し入れし易くせいぜい腰のあたり。
このように、利便・快適性追求のあまり、先進国の時代の趨勢は身体活動量が一層減少に向かっている。
恩恵と対峙しているのがやっかいな“生活習慣病”、“metabolic syndrome”なのだ。近年、公衆衛生分野では身体活動の重要性が注目され、最近では“sedentary death syndrome”などの用語がシンボライズされている。

この身体活動を定量的に把握しどう評価するかが研究のキーポイントとだが、身体活動量を厳密に測定することは不可能に近い。例えば、質問紙で「野球1ゲーム2時間行った」、と回答を得たとしよう。だが、この情報だけでは過小(大)評価してしまう。回答者のポジションによってその身体活動量に大きな差異があるからだ。ピッチャーとめったにボールを受けないライトを想定すれば自明の理だ。
とは言っても、従来は、不完全ながらもその指標に質問紙(ゴールドスタンダードなもの)、カロリーカウンター、歩数計などが用いられて有益とされている。

まず、我々は、より定度と真度の高い指標を用いるべく質問紙と3次元加速度計にてプレテストを開始した。対象者はわが環境保健学教室のスタッフだ。順次お願いしている。皆さんご快諾くださり、こんなとき身内は有難いものだ。感謝、感謝。
3次元加速度計は1週間装着で、原則、就寝と入浴時以外は常時装着してもらうこととした。果たしてどんな結果かな…。
1週間後が楽しみだ。無論研究者として。


平井

2010年2月23日火曜日

メタボ対策

巷では、“メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)”が病気の話題。
腹囲を測って一喜一憂。某コマーシャルで中年サラリーマンを扮する役者がお腹を引っ込めるシーンは、つい笑ってしまう…。一度は見たことがあるのでは。

メタボリックシンドロームは、心疾患、脳血管疾患のリスクファクターとして注目されている。何せ、わが国では3第死因疾患の2位、3位(悪性新生物:1位)で長らく不動。10人のうち大方3人は心疾患または脳血管疾患で亡くなっている。ある日突然起こり、最悪の場合には死に至らしめる恐ろしい病気だ。ライフスタイルの不摂生が動脈硬化の進行に拍車をかけ自覚症状なく血管を蝕む。まさに“サイレントキラー”だ。“メタボ対策”が極めて重要な所以である。
このメタボリックシンドロームの背景には運動不足や過剰栄養などの不適切な生活習慣があり、ライフスタイル改善のために個々人の行動変容が鍵となる。
わが国は、平成19年度にメタボリックシンドローム予防対策として「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」とスローガンを掲げており、特に運動を第1に挙げ、身体活動(運動、生活活動)による予防が大切であることを示している。

冗長に述べてきたが、「言うは易く行うは難し」だ。特に“運動”は苦手、嫌いな者にとっては厄介だ。
福井県民の運動実施状況 (「ふくいの健康長寿の謎解き (コンパクト版) .P124」.福井県福祉健康増進課. 平成17年度) によれば「ほとんど運動していない者」が平成6年度47.5%、平成11度56.0%、平成16年度61.4%と増加傾向にある。わが国の健康づくり施策「健康21」では、一日の歩数として男性9200歩、女性8300歩を目標値としているが、全国平均(平成17年度)は男性7533歩、女性6446歩で目標値を下回っている。福井県(平成18年度)では男性6973歩、女性6463歩と男性においてはさらに全国平均より低い。
何も、ここでわざわざ福井県の不名誉を公表しなくてもよいのでは、と大愚の念に駆られる。と、同時に研究者の血が騒ぎ、わが県民の歩数が少ないことには移動手段で車の利用頻度が高いことも要因のひとつであろうか?余暇を利用した運動ではなく労働や通勤ではどのくらい体を動かしているのか?などあれこれ沈潜してしまう。
予防医学的知見として運動やスポーツの有効性は先行研究により確立されている。しかし、任意に行う運動だけではなく労働などを含む日常の身体活動(生活活動)の有効性に関するエビデンスは現状では乏しい。
そこで、われわれは、平成20年度から、職域をフィールドに身体活動(運動・生活活動)がメタボリックシンドロームに及ぼす影響の研究をスタートさせた
身体活動からのアプローチによる今後の健康増進施策のあり方と具体的方法論を提示できると考える。さらにはメタボリックシンドローム予防対策の基礎資料として、職域にとどまらず地域ひいてはわが国のヘルス・プロモーションの一助としたい。


平井

2010年2月19日金曜日

充実した社会医学実習:公衆衛生の現場を知る!

1983年開講以来28年間、公衆衛生の現場において、ヒトと疾病を取り巻く社会的因子を把握して理論を体験的に学ぶ学外での社会医学実習を重視してきた.

4年次生が1グループ5名程度毎に現場(県内を中心に約20ヶ所:健康福祉センターなど)で社会的に関心の深いテーマ(高齢化社会、生活習慣病、感染症など)をもとに実習(前期)する.
学生は協力していただく現場(施設)のチューターと相談しながら、患者および地域住民の方々と直接触れ合い、自らの手や足で調査・解析し、その結果をレポートにまとめ発表を行う.
例年、発表会では現場(施設)チューターを交え活発な討論がなされる.

平井

環境保健学とは

環境因子(水・空気・食物・土など)とヒトの健康との関係を明らかにし、それを望ましいあり方に保つ学問.
『環境とはヒトを取り巻く全てである』
社会の様々な領域(地域、職域など)で、環境との関わりを考えつつ、人の集まりを用いて健康保持・増進を果たす医師、即ち"社会医"を目指す社会医学教育を行う.(syllabus参照)

他大学でいわれる、衛生・公衆衛生・環境医学・予防医学・地域保健・国際保健・保健医学などの教育研究を担う.

thirai &たろう